「新潟市中小企業人材確保・育成支援事業」は、市内企業の人材確保や若者等の市内就労を促進するため、企業の魅力度向上や社内外への発信力強化のほか、効果的なインターンシッププログラムの構築を通して、企業の採用力向上を支援する事業です。
事業の一環であるインターンシッププログラム作成支援では、インターンシップの基礎を学び、その後、コーディネーターによる個別コンサルティングで各社に応じたインターンシッププログラムを作成し、学生と企業双方に価値のあるインターンシッププログラムの策定方法等を学んでいきます。
本コラムでは、支援を受けた理由や感想、今後の展望についてお伝えします。今回は藤木鉄工株式会社から高井里菜さんにお話を伺いました。

<藤木鉄工株式会社>
藤木鉄工株式会社は、鉄骨製造を手がける建設会社です。主に超高層ビルや橋梁の鉄骨加工を担い、首都圏や東北エリアでの建設プロジェクトに貢献。メディアシップや朱鷺メッセなど、地域の主要建築にも携わっています。
既存の採用活動にあった違和感への気付き
ー お名前と御社の企業名を教えてください。
藤木鉄工株式会社 総務部 総務/経理/人事課の高井里菜と申します。よろしくお願いいたします。事業内容としては、主に2部門あります。1つは首都圏をメインとした超高層ビルや工場、物流拠点などの鉄骨を作っています。もう1つは、橋梁部門で新潟に加えて東北の橋桁を作っています。新潟ではNEXT21やメディアシップ、朱鷺メッセ、新潟競馬場など、県内の主だった建造物には弊社の鉄骨が入っています。
ー 参加したきっかけ
まず、上司から教えてもらいました。それに、私自身、入社1年目で採用担当になったのですが、知識が全くない状態だったので、少しでも勉強して、より良い採用活動を提案していきたいなと思ったことがきっかけになります。
採用担当への配属については、入社面接の時から希望していました。大学でデザインの要素を重要視した建築を学んでいましたが、広報に興味があったことと、これまでの経験から人と関わることが大事だと考えていることもあって、採用や広報に関わりたいと思っていました。
ー 講座の感想
コーディネーターの佐々木さんに鋭いご指摘をいただいて、ハッとさせられました。私も新卒で入社して、弊社の採用活動に対して、新卒に近い立場から客観的に見ているつもりでした。ただ、それでも気付かない違和感があって、そこを指摘いただいて、とても助かりました。
それは、これまでインターンシップ自体は弊社にもあったのですが、“流れ”ができていないという点でした。工場見学、CAD体験、会社説明など、それぞれの内容はありましたが、上手くつながっていなくて、ぶつ切りになってしまっていたんです。
ー 他に気付けた点はありましたか?
他には、合同説明会などで、学生に話すための資料もブラッシュアップいただきました。私たちの資料では、いきなり「皆さん、こういう建物を知っていますか?」と言って、メディアシップや朱鷺メッセなどの手がけた建物の話をしていました。ですが、初めて弊社の事業内容を聞く人たちにとっては、「そもそも鉄骨って何?」 ということがまず分からないんですよね。たしかに、私も入社前はその状態だったのに、入社して仕事をするうちにその感覚を忘れていました。
建物を見て、建設会社が作ったんだろうというイメージはあっても、その中に鉄の骨組みがあって、それを専門でやっている会社があるというイメージまではつかないと思うので。
その中で、コーディネーターが、「もし人間に骨がなかったら」と、身近なもので例えて説明すると良いのでは?と、提案してくださいました。会社のことを説明する前に、鉄骨は、人間にとっての骨の役割をしていて、人間は骨がなければ生きていけないように、建物も骨がなければ成り立たないという、誰にでもイメージしやすい導入部分を入れることになりました。そこに気付けたことは、とても大きい変化でした。
インターンシップの流れと、社内をつなぐ“ミニチュア模型”
ー 支援はどのように進んでいきましたか?
まず、弊社について、現在やっているインターンシップ、自社の魅力についてなど、コーディネーターにお話しして、そこから個別コンサルとして、どういう風にインターンシップを構築していったら良いかをアドバイスいただきました。先ほどお話しした「個別の内容はあるけど、うまく流れができていない」という点が課題だったので、それを上手くつないで流れやストーリーを作ろうということで、進めていきました。
ー どのようなプログラムになる予定ですか?
これまでのインターンシップの話で言うと、2D・3DのCADで、簡単な図面を描いてもらう体験をしてもらっていました。けれど、鉄骨の理解が足りないままに体験するので、CADで描いたものと実物がつながっていない状態になってしまうんです。そこで、実際の鉄骨構造のミニチュアを作りました。
コーディネーターのアドバイスにプラスして、総務部だけではどうにもならなかったので、実際に設計している部署で、普段からインターンシップに協力いただいている先輩社員に相談しました。「こういうことがやりたいのですけど、アイデアを一緒に考えてもらえませんか?」と。そうすると、「こういうのがあったら良いんじゃないか?」と、アイデアをもらえて、それを製造部の工作が得意な社員にお願いしたところ、このミニチュアを作ってくれました。


建物の1フロア分の模型なのですが、実際に組み立てることもできます。立体になった時に分かりづらいので、CADの前にこちらを組み立てて、イメージをつけてもらえると良いのかなと思います。とはいえ、組み立てて完成して、「良かったね」となるだけだともったいないという話になり、弊社の“安全へのこだわり”も知ることができるような体験になっています。例えば建設現場で、鉄骨には人や物が落ちないように墜落防止用のネットを張ります。そのネットをかけるフックもこのミニチュアには付いていて、細部を再現しています。組み立てながら、弊社がどういったこだわりを持っているかを、感じることができるかと思います。
それと、今後考えていることとして、CAD体験の後に工場見学がありますので、ミニチュアで触れた鉄骨の実物を案内するという流れが作れると良いのではと思っています。それに加えて、○×クイズみたいなこともして、楽しい工場見学にできれば良いなと。ただ説明を受けるよりも、そういったことも取り入れて、それぞれ個別の内容に流れをつけて、つないでいけると良いと思います。
最初は、設計というメインの仕事がある社員に、採用のことで時間を取らせたくないという気持ちがありました。ただ、そんなことを言っていて、後輩が入って来ないと、部署は困るなと思いました。なので、負担はどうしてもかけてしまうのですが、その中で楽しく参加してもらえるように、他部署にも声をかけたりしています。
目標は、全社的に採用を意識すること。関わるようになること。

ー 今後の展望は?
この取材のことを考えていて、昨晩ふと思いついたんですけど、全社的に採用を意識すること。関わるようになること。それが、今はできていないからこその理想論かもしれませんが、最大の目標です。
今、インターンシップに関わってくれる先輩社員というのが固定化していて、もう入社7年目の社員だったりするんです。理想としては、インターンシップには3年目、4年目の先輩が参加するのは当たり前という風にして、「夏にインターンシップで学生が来るんだね」と、上司もそれをわかっていて、「学生が来るんだ。じゃあ、教えてきます!」と言ってくれる社員がいる…そんな状況が重なっていくと良いなと思っていて、そうすれば、皆で人を大切に採用しようという意識が芽生えて、学生がオフィスに来た時に、「一緒に働きたい!」と思ってくれるようになるんじゃないかなと思っています。
今は、それぞれの社員にメインの仕事があって、お願いしてインターンシップの対応をしてもらっているという状況です。それを、上司がその期間に時間を作ることを業務の一環として指示するというレベルに全部署がなることが理想です。それは、きっと自社の魅力に気付くきっかけにもなって、本業にも良い影響を与えると思うんです。
今、協力してくれている社員は、本当にいい人が多いなと感じています。例えば、一言、二言のつもりで参加学生さんに向けた手紙をお願いしたら、びっしり書いてくれる人がいたり、丁寧で紳士的な社員が多いです。ですから、会社として採用活動に関わることができるようになれば、そういった人柄が伝わって、より良い採用につながっていくと思います。
ー こちらの支援を、どのような企業におすすめしたいですか?
私たちの場合は、説明資料やインターンシップも全くないわけではなかったので、より良くなるように指摘していただきました。それは、すごくありがたかったです。同じように、既にインターンシッププログラムがあって、「これで大丈夫だ」と思っているような場合でも、改善する点が見つかるかもしれません。そういった企業さんは、受けてみると新たな発見があるかもしれません。