令和5年度から新潟市が実施する「若手リクルーター養成講座」。
市内企業の若手社員を、組織を牽引する次世代リーダーやリクルーター活動に携わる人材として育成・定着させることを目的とした、全6回の連続講座です。講師にはグローリンク株式会社代表取締役 中籐美智子(なかとう・みちこ)さんをお迎えし、グループワークを通して異業種・同年代社員と交流を深めながら、リクルーターとして必要なノウハウの獲得や自身の内的キャリアの再発見、自社の魅力分析などに取り組んできました。
毎回、異なるテーマで進められますが、最終回となる12月20日(水)の第6回目講座は「自社の魅力を再構築」をテーマに、実際に学生を審査員としてお招きし、自社の魅力をプレゼンする発表会を開催しました。学生審査員からのフィードバックの時間を多く設け、伝え方をさらに磨いてもらえるようにしています。今回は、発表会当日の様子をイベントレポート形式でご紹介します。
本物の学生が、会社紹介プレゼンにフィードバック
発表会には企業22社、学生12名が参加。当日は、予選と決勝戦にわかれており、まずは企業と学生審査員がそれぞれ3チームにわかれ、チーム内での企業プレゼンがおこなわれました。各企業の発表ごとに学生審査員からの質問やフィードバックの時間が設けられていました。実際におこなわれたやりとりの一部をご紹介します。
学生審査員:キャリアアップできる環境があるとのことでしたが、具体的にはどのような仕組みがあるのか教えてください。
企業参加者:社員からの「これやってみてもいいですか?」という相談に対して、まずは任せるようにしています。もちろん、先輩社員がサポートをしながらですが、希望さえあれば大きな仕事でも、まずは任せます。実際に、入社1年目のスタッフに、未経験から新しい仕事を担当してもらった例もあります。
学生審査員:プレゼンの最後の方に、ジョブローテーション制度について説明がありました。具体的な配属先の決定はどのようにおこなわれるのでしょうか?
企業参加者:全社員に対して年に2回、キャリア面談の時間が設けられており、基本的にはその時間に希望を聞いて配属先を決めるという流れです。もちろん希望が100%を通るわけではなく、社内の事情も鑑みてにはなりますが、本人の意思を尊重して配属先を決めることが多いです。
たとえば、とある業務を任されている人が、自分の仕事の質を高めるために、自分の仕事の後工程の業務への異動を希望するケースがありました。その方の場合は実際に希望部署へ異動してもらい、理想とするキャリア形成のサポートをさせてもらいました。
学生審査員:行動規範の一つに、「正しいと思ったことは、失敗を恐れずチャレンジする」があったと思います。実際にどんなチャンレンジがあったのか教えて欲しいです。
企業参加者:企業秘密にも関わるので具体的な商品名は言えませんが、とある設計を任された担当者が、これまでと全く違うアプローチで新しい製品を設計し、上司に提案をしたことがありました。その際は、上司から「おもしろいからやってみよう、責任は俺がとるから大丈夫」と声をかけていました。他にも、社内ではよく「失敗しても、次につなげられれば問題ない」と声がかけられるシーンをよく見かけます。
プレゼン後は、学生審査員から企業へと「フィードバックシートシート」が渡されました。時間の都合で質疑応答の時間で話せなかったことも、シートを使って企業へと伝えられました。
チーム内の全社がプレゼンを終えると、投票タイムに移ります。学生審査員が、そのチームの中でもっとも魅力的に感じた企業を選び、チームごとに一番多くの票を獲得した企業が決勝でプレゼンする権利を獲得しました。
学生からの声「私も皆さんのような社会人になりたい」
決勝の舞台に立ったのは、中越運送株式会社、インテクス株式会社、株式会社星光堂薬局の3社です。3社は改めて、全参加企業と学生審査員の前でプレゼンを実施し、審査員からの決選投票がおこなわれました。
その結果、優勝は株式会社星光堂薬局に決まりました。
最後に、発表会全体を通して学生審査員から感想をもらいました。
学生審査員:本日はこのようなお時間をいただきましてありがとうございました。どの企業の方もプレゼンが分かりやすく、来年、私が社会人になってもこんなふうに話せるようになりたいと思いました。とくに決勝のプレゼンは、チームプレゼンで話された内容と微妙に修正をしていた部分があって、ギリギリまで調整をする姿にも驚きました。
学生審査員:様々な視点で企業さんの話を聞く事が出来てとても有益でしたし新潟市にこのような企業があるのかと知ることができました。また、学生フィードバックの時間で他の学生の視点を知ることが出来て、新たな発見となったのでよかったです。
半年間の連続講座の最後に、参加企業が「行動宣言」
優勝企業発表後、学生審査員は退出。参加企業だけで『若手リクルーター養成講座』全体を通した振り返りの時間に入りました。各自が振り返りシートを活用して、これまで学びを整理し、その後同じテーブル内でシェアをしました。
最後に、各企業の参加者がこれから会社に戻って何をするのか「行動宣言」を一枚の紙にまとめ、全員の前で発表をしました。
すべての参加企業参加者には「修了証」が渡され、約半年にわたって開講された連続講座は幕を下ろしました。全6回の講師を務めたグローリンク株式会社代表取締役の中籐さんより、締めの挨拶がありました。
中籐さん:6回にわたっての講座の受講、お疲れさまでございました。お仕事をされながらの参加で非常に大変だったと思います。今回の講座では自分自身とも向き合っていただきながら、仕事の意義や会社の魅力を再発見してもらいました。未来に向けて自社をどんな会社にしていきたいか、と考える時間にもしてもらえたのではないでしょうか。
個人的には、他の企業の方々との交流機会を設けられたことに手応えを感じています。人事やリクルーターとして仕事をしている方の中には、社内に相談相手がおらず、自分一人で悩みを抱えていらっしゃる方もいると思います。同じように悩みを抱えた他社参加者と交流することで、新しい気づきが得られ、自身が大きく成長をするきっかけが得られたのではと思います。私も、回を重ねるごとに顔がいきいきとしたり、発言内容が変わっていったりする皆さんの姿を見て、うれしく思っていました。
ぜひ、今回の講座で学んだことを会社に持ち帰っていただき、社内でリーダーシップを発揮しながらより良い組織づくりを進めていただきたいです。その結果、素晴らしい学生さんからエントリーが増え、会社のさらなる成長につながると思います。
私自身も今回の連続講座を通して、素晴らしい経験をさせていただきました。私の出身は新潟ですが、高校卒業と同時に東京へ行きました。もし、皆さんのプレゼンを学生時代に聞いていたら新潟に残っていたかもしれません。
今は、東京にいながら新潟での仕事もさせていただいていて、その一環として皆さんと出会えたことをうれしく思います。これからも一緒に新潟を盛り上げる仕事をしていきましょう。みなさま、長い間本当にお疲れさまでございました。